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第1回公判
裁判所童貞
有楽町線の桜田門駅から歩いて
1−2分の場所に東京地方裁判所はあります。
テレビでは何度か見たことはありましたが、
入るのは初めて。
緊張しつつ入口に向かいました。
「きっとボディチェックされるんだろうな。
金属探知機に反応したらどうしよう……」
などと思っていたのですが、あっけないほどに何もなし。
バリっとしたスーツ姿の弁護士サンらしき人々に混じって
ジーパン姿のワタクシも堂々の入所です。
開廷するまで時間があったので「一服するか」と
喫煙できる場所を探し1階のコーナーへ。
そこには、非常に怖そうな人たちが数人群がっていました。
後ろ向きで聞き耳を立てていると、
「兄貴は今度食らうとどれぐらいになるんやろ」
「そやなあ、前があるさかい、
5年はいくかもしれんの」
「まずいのぉ、組のこともあるしのぉ。
義姉サンなんていうてんのや」
「まあ、組の仕事やったからしょうがないやろ。
あの人は覚悟しとる人やから」
東京なのに、何で関西弁、いや広島弁? なんだ!という疑問より、
極道関係者の皆さんも報道関係と同様に
やはり裁判所には縁があるんだな、と納得。
ワタクシが会話に意識を注いでいることがバレてしまったのか、急に無言。
振りかえると、じいーっとこちらを見ています。
や、やばい。
そそくさと、タバコの火を消して法廷に向かいました。
4階と5階の法廷が主に刑事事件を裁いている場所。
各法廷の前の予定表には
今日の裁判予定が張り出されています。
例えば
13時00分公然わいせつ罪−被告人◎◎◎◎
14時00分詐欺、及び有印私文書偽造など−−被告人△△△△
という感じです。
お仕事的には
1Fにある予定表を見て、記事になりそうなものを
選ぶわけです。
とりあえず最初に本能的に選んでしまったのは、
強制わいせつ罪でした。
恐る恐る、法廷に入るとなんと満席。
前の覚せい剤取締法違反からの傍聴人で満杯なのです。
とりあえず、一番前が1席だけ空いていたので着席し、
開廷を待ちます。
被告人は女子高校生に電車のなかで
痴漢を働いてつかまった人でした。
もちろん、何かを被って顔を隠すこともなく、
手には手錠、腰には腰縄。
裁判が始まるとそれらの拘束からは
解かれるのですが、ちょっと衝撃。
たしかに、痴漢は罪ですが、
こんな大勢の人の前で顔をさらし、
手錠、腰縄の状態を見られてしまうとは……。
絶対に痴漢はしまい
罪は犯すまい、と誰もが心に誓うはずです。
もし、子供が不良化してお困りの人は、裁判を見せるといいですね。
こんな目に遭うぐらいなら「真面目になります」と誰もが言うはずです。
冒頭陳述が始まり、弁護人側からの証人喚問では、
被告人の妻と母親が出てきました。
親族や友人などの減刑を求める証人は
情状証人といいます。
時代劇の御白州では、下手人の母親が涙ながらに
「お奉行様、定吉は魔がさしたんでございます」
と言いますが、これは今の時代も同じ。
奥さんは「子供が、子供が」と泣き。
母親は「優しい子なんです」と泣き。
しかしながら、裁判官を見ていると、
よくあることなんでしょうね、普通の顔。
こちとら、初めてですから衝撃的でした。
人が我を忘れておいおい泣く姿は
なかなか見れるものではありません。
俳優の修行をしている人も裁判傍聴は
勉強になることが多いかもしれません。
一部、被告人が否定したため求刑まで行かず、
その日は閉廷したのですが、
非常に勉強になりました。
軽い気持ちで女の子に触ったりしたら、
自分だけでなく、
家族をも巻き込んでしまうのだ、と。
その被告人が女子高校生の下着のなかに
手を入れていたのは
3分程度だったそうです。
3分間の快楽で、こんなにもすごいことに
なってしまうのか、と。
帰りの地下鉄では両手とも完全につり革。
もし、痴漢に間違われたら、と思うと怖くて……。
「このデブが私に触ったんです!」
とでも言われたら……人生終わり。
痴漢だけは絶対にしません。
いや、もちろん今までにもやったことないですよ。
裁判を傍聴したら、もう怖くてできません。
いや、やるつもりもないんですけどね。
本当ですよ。信じてください。裁判長。
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